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上智大学比較文化研究所レクチャーシリーズ2010

Shrine, Church, and State: The Borders between "Teaching" and "Religion"


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講演者

ケイト・ワイルドマン-ナカイ 上智大学名誉教授

スタンフォード大学を卒業後、1972 年にハーバード大学にて博士号を取得。ハーバード大学、オレゴン大学で教鞭をとった後、1980 年から上智大学比較文化学科(現国際教養学部)に勤務、2010 年の定年退職まで日本前近代史の授業を担当した。1997 年から2010 年まで学術誌『モニュメンタ・ニポニカ』の編集長も務めた。専門は近世思想史、特に新井白石や後期水戸学を中心テーマとし、現在は1932 年の上智大学・靖国神社非参拝事件や江戸後期・明治時代の神道史の研究に取り組んでいる。

テーマ

神社、教会、国家
「教」と「宗教」の境界線

戦前の神社史において、もっとも争点となる問題はおそらく神社の性質の定義である。神社は宗教的な施設であるか否か。宗教的であるという立場から、1932年に上智大学の予科生が靖国神社に引率されたおり、数名が参拝を行わなかった。政府は逆に神社が宗教的な施設ではないとの観点を取ってはいたが、この時点まで、その立場の裏付けには主に神社と宗教団体が違う官僚組織の管理下にあったことに頼り、神社で実際に行われる行為などに関して立ち入った公式な所見を示すことを避けていた。しかし、上智の学生の非参拝が発端となって事態が複雑化するに至り、困難な状況を打開するため、文部省はそれまでの姿勢を変え、参拝の内容に関する見解を発表することになった。学生などを神社参拝させる目的は教育上の理由に基づき、参拝の場で要求される敬礼は愛国心と忠誠を現すものであると言明したのである。焦点を「宗教」から「教育」に移すことによって、折り合いの余地を作ろうとしたわけであるが、根底にある問題が乗り越えられたとは言えない。「教育」には「教」の観念が伏在するが、西洋から religion (宗教)の概念が輸入される以前から、東アジアの伝統的思想における「教」と神社との関係が議論になっていたのであり、それは神社と「宗教」の関係についての問題とも絡まりあっていた。1932年の靖国神社非参拝事件の経緯や事後の対応の意義を理解するために以前の論争を視野に入れることは有効であろう。また異論が多い「国家神道」問題にも示唆を与えると思われる。

開催日

2010/4/24

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